兵庫県立大学 環境人間学部・研究科

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研究トピックス(食品機能フリ・・研究室)

食環境栄養課程 - 実績/成果

食品機能・フリーラジカル研究室(加藤 陽二 研究室)
(Free Radical and Food Function(FRF2)研究室)
研究室・実験室(B109〜111)

【研究室の概要】

超高齢社会が到来しました。『病気になる前に食から健康維持』を目指し、「食品機能性」と「酸化ストレス」を研究の二本柱にしています。酸化ストレス(活性酸素)は癌、動脈硬化、認知症や老化に深く関係していますが、これらを予防する可能性を持つのが「微量毒素」(←良い意味で)でもあるポリフェノールや辛味成分イソチオシアネートなどの食品機能分子です。

一目でわかる研究内容
一目でわかる研究内容

【研究/研究室の変遷・歴史】

学生時代は、「生体の老化に関連したコラーゲンの酸化」を研究し、博士号を取得しました。学部4年生〜博士前期課程の時に、研究の過程で、コラーゲンに豊富に含まれるプロリンの酸化によりペプチド鎖が開裂する機構を発見(BBRC誌, J Biol Chem誌など)したことが、研究者の道を歩むきっかけとなりました。その後、博士後期課程に進み研究を深め、ポスドク(特別研究員)時代には脂質酸化修飾物「ヘキサノイルリジン」(HEL)を見つけ、HELがヒト動脈硬化病巣に蓄積していることを2012年にJ Biol Chem誌に報告しました。

その後、兵庫県立大学の前身である姫路工業大学・環境人間学部に助手として採用され、姫路に来ました。2016年には、ニュージーランド・クライストチャーチ(University of Otago, Department of Pathology and Biomedical Science, フリーラジカルリサーチセンター)に1年間留学しました。その時のテーマを帰国後も継続して研究を進め、セロトニン代謝物(5ヒドロキシインドール酢酸)のキノン体を2016年に発見し、ヒト動脈硬化部位に局在していることを見出しています。このキノン体に関する研究はライフワークとして現在も続けており、国際誌に5編の論文を発表しています。

ニュージーランド産のマヌカハニーに関する研究も学生と一緒に開始しました。その過程でマヌカハニーから配糖体レプトスペリン(wiki LINK) を発見・報告し、特許を取得しました。現在も引き続き、レプトスペリンの機能性解明や品質保証(認証)に応用する研究を行っており、国際誌に7編の論文を報告しています。なお、レプトスペリンはニュージーランドのUnique Manuka Factor Honey Association(UMFHA)のUMF認証マーカーの一つとして利用されています。

マヌカハニー(その化学成分と認証)については、日本語の解説なども書いています。無料公開されているものを以下に示しておきます。

 

マヌカハニーの特徴とその機能性(日本家政学会)

■マヌカ蜂蜜に特徴的に含まれる新規配糖体Leptosperin(ビタミン)

■マヌカハニーの成分検査による認証・グレーディングについて(web magazine)

■マヌカ蜂蜜に含まれるケミカルマーカーと認証評価(化学と生物)

 

その他、研究室で扱っている食材(素材)は、蜂蜜、ボイセンベリー、生姜、唐辛子、など様々です。一方、抑制・予防のターゲットとしている疾病(症)は、認知症、炎症、動脈硬化症、糖尿病、など多岐にわたります。

食品試料を抽出した溶液(マイクロチューブ)
食品試料を抽出した溶液(マイクロチューブ)

 

学術論文は100報以上報告しています。日本酸化ストレス学会の学術賞も受賞。研究内容・業績などの詳細は以下の情報ソースもご参考ください。

■ResearchGate (Yoji Kato)

■Google Scholar (Yoji Kato)

■researchmap (Yoji Kato)

サンプルを振盪する機器(動画)

組織などをビーズで破壊する機器 (動画)

culture_dishes
細胞培養容器 ー神経細胞や腸のモデル細胞を育てますー

【担当科目・兼務】

加藤の主な担当科目は、生化学I、体と物質、食品学実験II、生命科学特論などです。共通教育にも講義がありますが、主に食環境栄養課程の学生に対して講義や実験実習を担当しています。環境人間学部に設置された先端食科学研究センターの兼務教員(センター長(H27年度〜))でもあり、県立大学ブランド商品の開発、地域の企業や海外連携、先端基礎研究の推進などにも尽力しています。

【研究室・ゼミの様子】

日々、学部4年生や修士・博士課程学生と一緒に、実験を通じて科学分野の「お宝」を探しています。扱う機器も多様であり、高速液体クロマトグラフィー、精密質量分析器、たんぱく質泳動装置、化学発光検出器、蛍光顕微鏡、DNA増幅解析装置(リアルタイムPCR)など。主に、神経、腸、肝臓、好中球などのモデル細胞(培養細胞)を使って、分子レベルで、病気や代謝、機能性発現の仕組みを明らかします。

研究室でのゼミ・セミナーは、「厳しくも優しさを忘れず」をモットーにしています。様々な実験手法を実践的に学ぶとともに、学生による論文紹介や研究成果発表などのプレゼンテーションを通じて、表現力にも磨きをかけます。

大学院生は勿論のこと、学部学生にもできるかぎり学会発表を勧めています。例えば、2019年度は神戸で開催された国際学会において、学部生2名がポスター発表しました。大学院生の場合は、台湾、ブラジル、韓国やニュージーランドなど、海外での口頭・ポスター発表もしています。研究者の道に進まなくても、きっと、忘れられない経験になると思います。

レクリエーションも大切にしており、歓迎会、納涼会、追いコンなどの懇親の場を設け、泊まりがけでの研究室旅行も行い、想い出作りも行っています。他大学との交流も積極的に進めています。

 

研修旅行(淡路島)
研修旅行(淡路島)

 

 

【卒業後の進路】

在籍した学生は、学部を卒業あるいは修士を取得後、香料会社、給食会社、検査会社、製薬会社、食品会社などに就職し、社会で活躍しています。当研究室から博士課程前期(修士)・後期課程(博士)への進学を経て、研究者になられた例もあります。学部の1年間だけでは、研究によって得られる・学べるメリット(専門性の強化、問題解決能力、独創性、論理的思考、プレゼン能力)を充分に享受できません。我が研究室に限りませんが、専門性を生かした就職には、大学院進学をオススメします。

食品機能・フリーラジカル研究室について、更に知りたい方は、研究室ホームページを見てください。

 

研究室の様子
研究室の様子